【環境にやさしいプラスチック】
世の中で使用されているプラスチックは、小さな分子(モノマー)が多数つながり巨大分子(ポリマー)で構成されています。
結合が強固で安定している一方、分解されにくく廃棄されても自然環境内に蓄積されるため、世界的な資源ごみ問題の一つと
なっています。
プラスチックは主に石油を原料としており、捨てられたレジ袋やペットボトルが海に流れると、波の力や紫外線の影響で細かく
砕けるものの、完全に分離されることはなく半永久的に海中にとどまります。
5mm以下になったかけらは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋生物の体に蓄積されます。
有害物質と吸着しやすい「マイクロプラスチック」は、海洋生物 ⇒ 魚 ⇒ 人間へ食物連鎖により、人体への健康被害の危険性も
指摘されています。
理化学研究所と東京大学の合同研究チームは、石油原料に代わる材料の開発に取り組み、食品添加物や農業用途などに使われて
いる天然由来の原料「モノマー」による、新しいプラスチックの開発を発表しました。
発表によると、このプラスチックは無色透明で強度は従来のポリプロピレンなどと同等、なにより塩水で分解することにより
原料に戻れば「マイクロプラスチック」による環境負荷や人体健康被害の抑制に貢献できる技術としています。
【理研による調査】
世界のプラスチック生産量 ⇒ 4億3千万トン
①リサイクルされるプラスチック⇒ PET(ポリエチレンテレフタレート)中心9%のみ、約3,870千万トン
②廃棄されるプラスチック⇒ 91%、約3億9,130千万トン
各国により違いがあり、日本では燃焼による廃棄が主流で温室効果ガスが発生
研究チームは、海水で分解された新しいプラスチックを、自然環境下で土壌の上においておけば吸収されるといいます。
原料にはリンや窒素など肥料として重要な要素も含まれるとしており、将来、使い終わった新しいプラスチックの
「土壌」により、美味しい野菜が育つかもしれない、と話しています。
課題はまだまだ多く残りますが、これが現実化されることで、環境の改善や維持の有効な手段として大きく期待が持てると
考えます。
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241122/k10014646111000.html