2025年7月29日

ダイナトロン 環境活動 2025.7 【リチウムイオン電子(モバイルバッテリー)の懸念と今後】

7月20日、JR山手線の新大久保―新宿間を走行中の電車内で、乗客が持っていたモバイルバッテリーが燃え上がる事件が
発生しました。数名の方の軽傷で済みましたが、一部の乗客が線路へ避難するなどし、山手線が最大2時間の運転見合わせ
するなど関連路線の遅延にも影響しました。
リチウムイオン電池を使用した備品は、他にも手持ち扇風機やファン付き作業服など特に夏場では身近なアイテムが多数
利用されており、日本の市場規模は2024年から2033年までに4.5倍の約1,215億万にまで達すると予測されております。
アイテムの一つ、モバイルバッテリーの利用者はスマホ利用者の約50%が保有していると言われています。
しかし、スマートフォンの充電機器として有効なモバイルバッテリーは便利な一方、取扱いを間違えると大事故につながる
危険性があります。
NITE(製品評価技術基盤機構)の調査によると、2020年から2024年の過去5年間で1,860件の事故が報告されており、その
内の85%が火災につながっています。
2024年は492件で年々増加の傾向にあります。また特に夏場(6月~8月)に多発しています。

【事故につながる懸念がある取扱方法】
①高温下や直射日光下での充電や充電器放置
②充電しながらの使用
③外部からの衝撃による破損 及び 液漏れに気付かず使用の継続
④水に触れる行為(発火の恐れあり

【リチウムイオン電池の廃棄】

普及率が上がれば、廃棄量も増加します。世界全体で見ると年間数万トンに達すると推定されていますが、回収された量は
廃棄量の14%程度であり、不燃や容器包装プラスチックごみに混入し、全体の3割程度しか回収できていないという分析も
あります。
適切な処分方法は電気量販店などの回収ボックスや携帯各社の引き取りなどの方法があります。自治体によって指定している
ところもありますが、具体的な回収方法を想定していません。
かといって、一般可燃ごみ、不燃ごみに混ぜて捨てることはとても危険な行為であり、人的被害や事故防止等の安全面の確保は、
使用する全ての人の責任です。

※廃棄の注意喚起(環境局ページ)
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/recycle/battery

【全固体リチウムイオン電池】(電解液全固体化)

従来のリチウムイオン電池は可燃性の電解液が含まれています。長期間使用すると劣化して内部に可燃性ガスがたまる場合が
あります。これに対し全固体リチウムイオン電池は、安全性、エネルギー密度、出力特性を向上させた電池と言われています。
現在、研究開発が進めれており、環境配慮面においても期待されています。