2025年10月29日

ダイナトロン環境活動 2025.10

ミノムシが地球環境に貢献

ミノムシの糸を使った炭素繊維複合材料が開発され商品化されました。
1894年、大手製薬会社のKOWA(興和)は綿布問屋として創業し繊維事業を手掛けてきました。
胃腸薬や関節痛用湿布薬など医薬品製造で知られています。

より強度な新素材の誕生

ミノムシは巣をつくるときや移動するときに糸を吐きますが、糸をシート状に吐き出させ、これに「炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)」と複合させることで、衝撃を吸収しより壊れにくい素材とすることが可能になり
ました。スポーツ用品・レジャー用品は既に商品化され、今後は自動車業界、航空機業界といった分野でも化学繊維や炭素繊維に
代わる存在となる可能性を秘めています。

シルク(絹糸)とは

一般的にはカイコが紡ぎ出す繭から作り出されたものを言いますが、クモやミノムシが作り出す糸もシルクにあたります。
クモの糸は、昆虫界で「最強」と言われますが、ミノムシの糸の方が弾性率(変形しにくさ)や破断強度(繊維を破断させるため
に必要な力を数値化したもの)において優れており、340℃までの耐熱性もあります。

今後の展望

「ここ数年で数百万頭のミノムシを人工的に飼育する」「真っすぐな糸を切れ目なく出し続けさせる」などの開発に成功し
年間1,000㎡の繊維製品が可能としています。しかし、製造コストの高さが課題であり、量産化には数百億円単位の設備投資や
効率的な生産体制の構築が必要とされています。

ミノムシはクモのように互いに捕食せず、カイコのように絹糸の採取毎に死んでしまわないため、安定した飼育で材料(シルク)
を生産でき、自然界で分解される(生分解性)ため、環境面での効果が大きく見込まれます。